都筑 道夫 (著) 1974年発行ですから、古い本です。
アマゾン見たら、亡くなられたと知って、ショック……ご冥福を祈ります。
この本は、ミステリー小説がお好きな方なら、知ってる方も多いかもしれませんね〜
「ミステリーには、作品をまたぐ固定された探偵役(シリーズで探偵役をする登場人物、いわゆるシリーズ物の”名探偵”)が必要か否か?」かな〜、論点は。
そうした「名探偵論争」なるものがあり、その「必要・復活」論の主張が本書、「否定」論の主張が佐野洋さんの「新推理日記」で読めます。
「新推理日記」では、都筑さんの反論も載ってます。けど、「必要・復活」論の大元「黄色い部屋はいかに改装されたか?」も読んでおかないと、深く論争を楽しめないと思います。
う、佐野洋さんの「新推理日記」、アマゾンで検索したけど、ないな〜
私はハードカバーの「新推理日記」持ってるんだけど、今ならたぶん講談社の文庫版が手に入りやすいんじゃないかと思うんだけど……もしかして「推理日記」はその後も出てるんで、「推理日記Part2」とかなのかな? 謎ですが……
この「名探偵論争」は、おそらく今読んでも(たしか松本清張全盛とかの当時ほどのインパクトはないにしても)いろいろ考えさせてくれる材料はあるかなと、あくまで私はですが、思っています。
まあ「名探偵論争」でネット検索すると、結構な数が出るんで、「名探偵論争」の詳しくはそちらか、この大元の2冊に譲りまして^^
私がここに書きたいことは別にあります。
評論「黄色い部屋はいかに改装されたか?」は、大きく前半・後半に分かれてまして、前半は「黄色い部屋はいかに改装されたか?」と題され、上記の主張が書かれてます。
で、後半は「私の推理小説作法」と題されて、都筑さんが実際に書いた短編について、どんな試行錯誤し、注意し、締め切りを気にしながら^^、結局どう書いたか?が主に書かれてます。
その作家としてのメンタリティも含めて、今回私読み返して、面白かったのですが……。
その「まな板」に載った作品が、短編シリーズ「退職刑事」の中の「ジャケット背広スーツ」。
この作品実は、都筑さんが実際に見た光景を元に、短編を発想をしてます。
都筑さんが見た光景とは――
地下鉄の駅から地上に上がる途中で見かけた ある人。
その人は、手に2着の上着だけを抱えるようにして、他に何も持たず駅の方に下っていった。
その2着の上着はクリーニングの袋等に包まれているわけでもなく、剥き出し状態。
そして本人は本人で、別の上着を着ていた。
――です。
本人が着ているのを含めて、計3着。一体あの人、どういう状況なのか?
この実際に見た謎に、ちょっとアレンジを加え、短編小説に仕上げるまでが書かれています。
で、……
そうです、以前書いた記事「妄想:50×5と1×250」のあれは、ここから来てます〜
「両替くん」の記事に目が止まったのは、間違えなく都筑さんのこの評論を読んでいたからです。
実は、ケメルマンの換わりに最初、「ジャケット背広スーツ」を例にあげようとして、捜したんですが「退職刑事」本棚にない……ううう……
で、「黄色い部屋はいかに改装されたか?」を出してきて、後半の部分読んで確認し、書こうと思って、……やっぱりケメルマンにしておきました。
「黄色い部屋はいかに改装されたか?」は大好きだし、別に記事書こうと^^
勿論本職の作家さんの真似が出来るとは、首ぶるんぶるん、私のような素人ができるはずもありません^^ これ読むまで、そんな風にまわりの光景を眺めてみるなんて発想自体、私には到底持てませんでした。
さすが本職〜!
ものの見方、観察眼が半端じゃないーと心底感心したものです。
で、本職の作家の方のような「謎解きの切れ」「伸びやかな論理の飛翔」も当然ありませんが、たまたま2つ案が浮かび、まあ「お気楽に素人がブログに書く」分には、「こんな程度でも、楽しく書けそう」と思ったのが、あの記事です。
また、かみんぐあうと〜^^
この「黄色い部屋はいかに改装されたか?」、佐野洋さんの「推理日記」は、私がミステリー小説を読む上で、またフィクション・お話を楽しむ上でも、いろいろ強〜〜い影響を受けた本で、勿論今でも大好きです。
お薦めしたいとこなんですが……それはかなり苦しい。広くお薦めは出来ません。
ミステリーの評論という性格上、不可避に近いのですが、かなりの作品のネタばれが書かれているからです。
例えば「黄色い……」で、横溝正史さんの「獄門島」「犬神家の一族」の謎解きのキモの部分が、少しはぼかしてあるにしても、まあはっきり書かれてます〜 クイーン、ヴァン・ダインなんかも出てきます。他にも出てた気がする〜、ネタばれ。
昨今、森村誠一「人間の証明」(あの麦藁ぼうし〜^^)の携帯用ダウンロード販売好評とか、松本清張原作「黒皮の手帖」がドラマ化とかありましたし、それを考えると、安易にちょっと推薦するというのも……。
ミステリーの評論には、特につきまとう問題です。が、私は今でもいい本だーと思ってます。
さてさて、どれだけ居るか分かりませんが、これを読む皆さん
あなたなら、上記の3着の上着の謎、どう思います?^^
真相は目撃した都築さんも分かりません。
都筑さんが目撃したことにアレンジをちょっと加えたバージョンの一つの答えは、ミステリー短編シリーズ「退職刑事」の中の「ジャケット背広スーツ」にあります。
(どの巻かは、手元になくてわかりません、私……)
ちょっと「そそられて」きませんか?^^
こんなこと書いてるくらいですから、ええ、アルママさんにいただいた「小銭さん」のお題、全然「妄想」できてませんとも^^
(記事「妄想:50×5と1×250」のかなり下のほう、アルママさんのコメント参照)
どうぞ、先に浮かんだ方、ここにでもトラックバックしてOKですよー
この手の謎を「妄想」してみたい同好の同志、絶賛募集中!
(はやくも逃げ腰?! しかも、これUPしたら、またすぐ別の記事書こうと思っているのでした〜)
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